舞台芸術の記憶を未来へつなげていくための、創造的アーカイブを作り出すには…

おしらせ内容チラシプログラム登壇者

 


お知らせ

  • アーカイブ映像を公開しました(2024年3月28日更新)
  • 配信先を公開しました(2024年3月24日更新)
  • 情報を公開しました(2024年1月14日更新)

アーカイブ配信

 

内容

音楽や演劇、ダンスなどの舞台芸術は、上演されるその場限りでしか存在できないものであり、残された周辺の資料のみが上演の証拠となります。
記録が残されなければ、上演されたこと自体がなかったことになってしまいます。
また、作品が上演されるまでのプロセスは一般に見ることはできませんが、プロセスの中にこそ作品は生きています。
しかし、これまで劇場や舞台芸術に関わる人々の間では、上演の記録を残すことについて十分に議論されてきませんでした。
文化の家が25周年という節目をむかえた機会に、舞台芸術を未来へつないでいくためのアーカイブについて、一緒に考える場を提供します。

開催日
開催時間13:00 〜 16:30 (予定)
会場長久手市文化の家 森のホール  (オンライン配信あり)
対象劇場・博物館・図書館等の文化施設関係者
舞台芸術制作者、アーキビスト
アートマネジメントや舞台芸術に関心のある人
※どなたでもご参加いただけます
参加費無料(要申込) 申込フォーム
※受付期間:2024年1月16日(火)〜3月22日(金)
主催長久手市

 

チラシ

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プログラム

第1部:舞台芸術アーカイブと劇場の蓄積
岡室 美奈子(早稲田大学文化推進部参与・文学学術院教授)
「舞台芸術アーカイブのゆるやかな定義と早稲田大学演劇博物館の実践」

本発表では、まず、完成された舞台それ自体を保存できないという舞台芸術アーカイブの根本的な特徴を示し、その価値や活用の可能性について述べる。
さらに早稲田大学演劇博物館の舞台芸術アーカイブをめぐる取り組みについて、主に以下の3点に絞って紹介する。
①コロナ禍における中止・延期となった舞台公演資料のアーカイブ化
②EPAD事業とJapan Digital Theatre Archivesの開設
③舞台芸術アーカイブ人材育成事業「ドーナツ・プロジェクト」
時間が許せば、演劇博物館の他の取り組みも紹介したい。

参考:Japan Digital Theatre Archives(JDTA)早稲田大学演劇博物館 ドーナツ・プロジェクト

生田 創(長久手市文化の家館長) 「長久手市文化の家の25年間」
山本 宗由(長久手市文化の家)  「長久手市文化の家のアーカイブ活動について」

長久手市文化の家は1998年7月15日に開館した。
開館時に策定した「文化マスタープラン」に基づき、25年間をとおして常に積極的な自主制作活動を続けてきたことにより、数多くの舞台芸術資料が生み出された。
この25年間で文化の家が制作してきた舞台芸術作品や、長久手市の地域性を活かした取り組みについて紹介するとともに、文化の家でのアーカイブ活動を通してみえてきた、地域の劇場がアーカイブに取り組む意義や課題についてを報告する。

参考:長久手市文化の家アーカイブズ

第2部:地域の劇場と芸術アーカイブ
井出 竜郎(アート&ソサイエティ研究センター)
「アート・プロジェクトのアーカイブ構築から考える可能性」

アート&ソサイエティ研究センターが取り組むアーカイブ事業「P+ARCHIVE(ピープラスアーカイブ)」では、プロジェクト型のアート活動を対象としたアーカイブ実践に取り組み、かたちに残りにくいアートの活動をいかに残していくか、様々なアプローチにより調査研究を続けている。
文化の家とともに取り組むアーカイブ活動の支援を通じて、舞台芸術とアート・プロジェクトで共通する課題と、活動記録をアーカイブすることの可能性を考える

参考:P+ARCHIVE

新里 直之(京都芸術大学舞台芸術研究センター)
「未来の創造、コミュニケーションの創発に向けてーー京都市内における劇場のアーカイブ活動」

近年、国内の劇場等文化施設では、舞台芸術アーカイブに関心をはらい、その実践や仕組みづくりを主体的に試みるケースが芽生えている。
本発表では京都市内に焦点をあて、主に公立劇場(ロームシアター京都)と民間劇場(THEATRE E9 KYOTO)の取り組みを紹介する。
また、それらの現状分析を通して、舞台芸術アーカイブが、劇場という場の特性を活かした創造とコミュニケーションの発展に、いかに寄与しうるのかという問題について考察する。

参考:ロームシアター京都 リサーチプログラム 紀要―2021年度報告書「劇場のアーカイヴを横断する――京都市内の文化施設を事例に」

渡邉 朋也(山口情報芸術センター[YCAM])
「創造の連なり—作品の修復・保存から始まる再創造」

山口情報芸術センター[YCAM]は、メディアテクノロジーを応用したインスタレーション作品やパフォーミングアーツ作品の制作を軸に活動を展開している。
2003年の開館から20年が経過し、過去に制作した作品の修復・保存も大きな課題となっており、そこから新たな展開も生まれつつある。ここではそうしたいくつかの事例を紹介する。

参考:山口情報芸術センター[YCAM]

第3部:登壇者によるパネルディスカッション

 

登壇者プロフィール

 岡室 美奈子(早稲田大学文化推進部参与・文学学術院教授)

早稲田大学文化推進部参与・文学学術院教授、坪内博士記念演劇博物館前館長。文学博士。専門はサミュエル・ベケット研究、現代演劇論、テレビドラマ論。館長時代にデジタルアーカイブの構築と発展に注力し、演劇博物館としてデジタルアーカイブ学会実践賞を受賞した。デジタルアーカイブ学会、日本演劇学会、放送番組センター、放送人の会の理事のほか、文化審議会委員、フジテレビ番組審議会委員などを務める。

 

 工藤 安代(アート&ソサイエティ研究センター代表理事)

特定非営利活動法人アート&ソサイエティ研究センター 代表理事/アートプレイス株式会社 代表取締役社長。
社会・地域における芸術文化活動の情報発信・調査研究・実践活動に取り組み、2010年プロジェクト型アートのアーカイブ活動「P+ARCHIVE」に着手。主な著書に『パブリックアート政策』、翻訳書『ソーシャリー・エンゲイジド・アート入門』、編書『ソーシャリー・エンゲイジド・アートの系譜・理論・実践』等。
※第3部のパネルディスカッションのみ登壇

 

 井出 竜郎(アート&ソサイエティ研究センター)

特定非営利活動法人アート&ソサイエティ研究センター プロジェクト・マネージャー。同センターのプログラムであるP+ARCHIVEディレクターとしてアート活動を対象とするアーカイブ手法の研究と実践に従事。主な著書に『入門デジタルアーカイブ―まなぶ・つくる・つかう』(分担執筆、勉誠出版、2017年)、『デジタルアーカイブ・ベーシックス4|アートシーンを支える』(寄稿、勉誠出版、2020年)。

 

 新里 直之(京都芸術大学舞台芸術研究センター)

演劇研究者。京都芸術大学舞台芸術研究センター研究職員。同大学芸術教養センター非常勤講師。ロームシアター京都リサーチプログラム「舞台芸術のアーカイブ」リサーチャー( 2019 ・ 2021年度 ) 。 THEATER E9 KYOTO 上演作品アーカイブプロジェクトメンバー。現代演劇のアーカイブ資料を活用した展示企画に、早稲田大学演劇博物館特別展「太田省吾 生成する言葉と沈黙」( 2023-2024 年)などがある。

 

 渡邉 朋也(山口情報芸術センター[YCAM])

1984年東京生まれ、山口県在住。2010年より山口情報芸術センター[YCAM]に勤務。展覧会や公演などのドキュメンテーションや、同館で過去に発表した作品の再制作のプロデュースも手がける。このほか、同館のウェブサイトやガイドブックなどの情報発信のプラットフォームの整備も進めている。著書に「SEIKO MIKAMI-三上晴子 記憶と記録」(2019年/NTT出版/馬定延との共編著)がある。

 

 生田 創(長久手市文化の家館長)

名古屋生まれ、瀬戸市在住。1995年に㈱三光に入社。主に舞台音響を務める。1999年より長久手市文化の家にて企画制作の担当。これまでに長久手国際オペラ声楽コンクール、音楽フェスティバル「おんぱく」、アウトリーチ事業「であーと」など、数多く手掛ける。2019年より「文化の家アーカイブズ」をプロジェクトとして立ち上げる。愛知県立芸術大学、名古屋芸術大学、名古屋大学、南山大学、中部楽器技術専門学校、ステージラボ(財団法人地域創造主催)などで講師を務める。日本アートマネジメント学会、日本音楽芸術マネジメント学会、各会員。2023年4月より、長久手市文化の家館長に就任。