市所属の劇団座☆NAGAKUTEの第35回公演「ジプシー」千の輪の切り株の上の物語!

おしらせ公演内容チラシ演出佃典彦コメント観劇レポ―ト

お知らせ

  • 公演情報を公開しました!(2023年12月21日更新)
  • 観劇レポートを公開しました!(2024年3月27日更新)

公演内容

念願のマンションを購入した孝史。完成が待ちきれない彼は妻の秀子を連れ、真夜中に建築中の現場に侵入する。

すると、そこには床に刺さった枝が一本。

さらに謎の放浪家族、孝史たちの部屋に住もうとしていた。

時代を超えた普遍的なテーマを問う作品。

公演日時①2024年3月16日(土)13:30開演(13:00開場)

会場長久手市文化の家 森のホール
出演座☆NAGAKUTE団員

多嘉山秀一、すがとも、安達総子、伊藤靖徳、しずはたまこと、青山恵、玉木きよし、瀬戸深雪、西生寿江、本田てつお、山田結、吉本陽子、小久保由里、住奥まさか2、あぼともこ、榊原みどり、さとうあきら、平野美奈、谷内範子、ひよりん

主催長久手市
助成

 

 


チラシ

チラシデータ

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演出佃典彦コメント

座員に過去、今回の「ジプシー」を上演した経験のある人間が数人いて、しかもそれぞれ別の団体での上演である。なんたる人気作品であることか!今まで一体どれだけの集団がこの作品を上演してきたのだろう?横内さんの元に寄せられる上演許可って年間どのくらいの数なんだろう?何てことを考えながら演出プランを練っております。この座☆NAGAKUTEのメンバーと共に過去に例を見ない「ジプシー」を創りあげるぞ!と意気込んでおりますが、恐らくは今まで上演した全ての集団がそんな風に思いながらこの歴史的超人気作品に挑んで来たんだろうなぁフフフと自分でも判らない笑みを浮かべながら今夜も稽古後に芋焼酎を飲んでおります。まぁ、とりあえず今回も開演ギリギリまで横内戯曲と思い切り戯れたい次第であります。

佃典彦


観劇レポート

長久手市文化の家を拠点に活動する劇団、座☆NAGAKUTEの第35回公演『ジプシー』が上演され、2日間3回のステージで500人以上のお客様がご来場くださいました。

念願のマンションを購入した孝史が妻の秀子を連れ、真夜中に建築中の現場に侵入すると、そこには床に刺さった枝と謎の放浪家族…。

舞台装置は、実際の一室が区切られていつつも、野放しにされた更地のような、ポツンと存在した小さなアジトのような、覚束ないような頼りないような雰囲気の空間です。そこへやってきた家主の孝史夫妻。嬉々としている孝史の傍らで浮かない顔の秀子。それに対して、全力で楽しんでいるような放浪家族と翻弄される建設側。舞台上にありとあらゆる感情が入り乱れ、カオスの極み!かと思いきや、どこかで見たことのあるようなその景色や感情に、徐々に観客側は目を離すことができなくなっていきます。ハラハラしたりイライラしたり、納得したりしんみりしたり…とにかく感情が忙しい!

しかし、観客は置いてけぼりになるのではなく、それぞれの登場人物のどこかに自分の姿を映し出すような気持になります。そのため、この舞台上の世界が、決して他人事ではないような気持になるのです。そして物語終盤、全く相反していたはずの人々はどこかでつながり、しかしそれ故に、やはりそれぞれの生活を歩んでゆく…。そんな形で幕を閉じました。最後には、あんなに覚束なかった舞台は、どっしりとした年輪のようにも、大きな大海原にも見えるような気がしました。

また、役者の皆さんの熱演、それぞれの関係性を大切にした役作りなど、細部にわたる工夫が伝わり、素晴らしい舞台となっておりました。また、これだけの人数をまとめ上げ、確固たる世界観を作り上げた演出家の佃典彦さんも、さすがです…!!
脚本は扉座の主宰であり、作・演出家の横内謙一さんによる1991年の戯曲。実に30年以上も前の作品!しかし、描かれている世界観や人々の葛藤は、現代が抱えるそれと多々リンクしていて、全く時代を感じない作品となっており、とにかく胸を打つものがありました。ちなみに、2ステージ終了後には横内さんと佃さんによるアフタートークもあり、楽しいお話をお伺いすることができました。

座☆NAGAKUTEの皆さん、お疲れさまでした!